〜恐竜の故郷手取層群と
　　白山・根尾谷断層の地質巡検〜

一日目　8月18日(月)

谷汲

　しかし、根尾谷は遠いです。京滋バイパス、名神高速を乗り継ぎ、大垣I.C.で一般道へ。ただ、「薄墨桜の里」根尾谷には、適当な団体の昼食場所が無い！　桜の季節でないもので････。仕方なく、西国三十三ヶ所の三十三番目の札所、谷汲(たにぐみ)村の華厳寺の門前で早めの昼食。ということで、地学のポイントではありません。ただ、早く昼食を食べ、お参りにさっと行かれた方もありました。ごりっぱ！さあ、今度こそ根尾谷へ！！！

根尾谷断層

　1891年10月29日午前6時37分におこった、根尾村を震央とする直下型の濃尾地震(Ｍ8.0)のときあらわれたもので、福井県から根尾村、可児市を結ぶ80kmにおよぶ数本の断層が動いた。地震の時、地表に出現した断層のことを「地震断層」または、「地表地震断層」とよんでいる。濃尾地震の時あらわれた地震断層は、全体としてＮ45°Ｗ(北西−南東)の方向に並んでいる。
　根尾谷断層は、濃尾地震の時できた地震断層全体を指すことがあるが、根尾村を通る能郷白山から岐阜県本巣町へのびる断層を指している。また、天然記念物になっている断層崖を水鳥断層とか水鳥断層崖とよんでいる。
　根尾谷断層は、延長40kmにおよび、一般的な走向は、Ｎ25°Ｗである。左横ずれ断層で、北東側の相対的な沈下がある。

金原地区

　地震時には、平均4.3mの左ずれができた。金原のある谷は、根尾谷断層に沿って、北北西から南南東へと直線上に約２kmのびている。左横ずれは、写真でもよくわかる。まっぐなみちが、曲がってしまった。横ずれだけで、上下のずれはない。

水鳥(みどり)地区

　水鳥断層崖は、比高６ｍにおよぶきわめて明瞭な地震断層崖であり、濃尾地震による低断層崖の代表例として紹介されることも多い。水鳥では、北東側の隆起で若干の左ずれを伴う点で他の場所とちがい、特異な場所である。この断層崖の方向は、Ｎ35°Ｗである。この水鳥断層は、集落の北側で鋭角的に東に曲がって、水鳥大将軍断層（東西断層）につながっていたようである。水鳥大将軍断層（東西断層）は、水鳥の集落の北辺に東西方向に約400mのびる断層で、南側が隆起した。その落差は、４〜５ｍにおよび、逆断層の特徴を備えているという。一方、根尾村中、板所をを通る根尾谷断層は、北西から南東の方向に根尾川に沿って水鳥の東側まで続いている。
　つまり、水鳥付近では、根尾谷断層北部と根尾谷断層南部が平行しており、水鳥の集落に北側にこの二つの断層をむすぶ東西の断層がある。根尾谷断層は、水鳥付近でＺ字形に屈曲している。このようなところで、断層が左にずれると、水鳥では、土地がたがいにぶつかることになり、水鳥の集落は、圧縮されて高くなり、水鳥の断層崖ができた。

中地区

　説明版が立てられており、濃尾地震の時の最大の左横ずれができた。その横ずれの量は、7〜8m(地積図・証言などをもとにした調査では、最大9.2m、最小6.0m、平均7.4m)であった。今でも、茶の木の列や小道が曲がっているのが見られる。写真の左下と右上が、本来、まっすぐだった。

犬山